本日から武田史子展始まりました。
いつもはその作家の作品だけを展示する構成でしたが、今回のテーマは
「作品と一緒に棲む」
若手作家の陶器やオブジェ、ちょっと古びた家具なども組み合わせた展示をしてみました。
実際家に飾ることをお客様がイメージしやすいようにです。
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務め人時代も含めると、アート関係の仕事はかれこれ25年くらいしていますが、自分自身がまだまだだなあと思うことも多々。
それとは別にとっても寂しく思うことは、まだまだ多くの日本の人にとって、アートは特別のもので、お勉強するものだったり、とっつきにくいものだったりします。
映画や音楽や小説、芝居の話は気軽に話題に上っても、アートの話題が出ることはほとんどないんじゃないかと思います。
誰でも小さい頃は無心に何かを描いていたり、作ったりしているし、描くという行為は人の原始的な欲求で、私たちの生まれる遥か昔から、アートは生活のいたるところで身近な存在のはずなのに。
小中高では、スケッチ、版画、粘土、油絵の技法を学んだり、絵画の歴史などを習ったりしますが、授業で、直接アーチスト本人から描いた作品を見せてもらったり、仕事に対する熱い思いを聞いたりすることはまずありません。子どもの頃、絵を描くのが何より好きだった私でさえ、画家という職業の人に初めて会ったのは18歳くらいです。本物の作品を目の前にして、いろいろな見方、作品の選び方、飾り方などを習うことは、ないように思います。授業はたいてい技法で始まって技法で終わるので、上手くできなかったりすると、私には美的センスが全くないんだ、とコンプレックスの根源となってしまいアートから遠のいてしまいます。
世の中の大多数の人はアーチストになるのではなく、観客になるのですから、本当は技法よりアートの楽しみ方を学校で教える方が大切なんじゃないかと思うくらいです。
西洋美術館や国立新美術館は平日でも超満員の大盛況ぶりです。観賞する人はもの凄く多い。アートというものは出掛けて行って観賞するもので、生活の中に取り入れるものではないと思われているのかもしれません。 服に1万円を払うのはそれほど躊躇しませんが、1万円で作品を買うという行為はもの凄くハードルが高いのです・・・。
この作品は1万円の価値があるのか?この作品を選ぶのは正しいんだろうか?自分が試されている気持ちになるのかもしれません。
作品を自分の目で選んで、買い、身近に置く。手放さない限り作品とは永久的なお付き合いになります。
この作品のどこに惹かれたのか?なぜ自分はこの作品を選んだのか?自分自身の潜在的なものと向き合うことになります。そして、その作品を見る度、選んだ時の状況、背景、その時の自分の気持ちを思い出すことになるのです。これって凄いことです。
その作品を制作したアーチストの感性に惹かれるということは、自分の中にもそのアーチストとある部分は同質のものを持っているということです。作家の人生とある意味リンクすることにもなります。作品を通じて作者と出会い、そして実際に交流するきっかけが生まれ、作家のサポーターにもなれるわけです。これは他のお買い物ではなかなか生まれません。
若手作家の作品なら数千円から買えます。
そしてそれは間違いなく、部屋を今までとは違ったものにします。
飾る事によって、せっかく飾ったんだから部屋のここは綺麗にしておこうという気持ちになります。
うちは飾るところがないから・・とよく言われますが、日本の住居事情を考えるとうなずける部分もあります。でも飾るところがないのではないのです。飾るつもりがないからなのです。
NYの裕福ではないつつましいコレクター夫婦のドキュメンタリー「ハーブ&ドロシー」でドロシーが言った言葉がとても印象に残りました。
‘あなた方は膨大なコレクションを持っているが、そのコレクションのほとんどを飾ることはない(部屋があまりに狭いので)。ただ仕舞っておくだけで意味はあるのか?’インタビュアーの質問に、ドロシーが答えました。「大好きな本だからと言って、毎日本棚から引っ張り出して、眺めたり、読んだりしたりしないでしょ。それと同じことよ。」
今回はずいぶん長い文章になってしまいました。
話しは初めに戻りますが、今回の武田史子展の展示は、そんなことにちょっとこだわってみました。「夢見ていること」とはアートが特別なものではない日がいつかやってくることです。
武田史子展 2012年5月9日(水)‐19日(土) /14(月)休み
ギャラリーFUURO (ふうろ) Open 12:00-19:00(31日 17:00まで)
東京都豊島区目白3-13-5イトーピア目白カレン1F (JR目白駅より徒歩2分)
Tel&Fax 03-3950-0775
http://gallery-fuuro.com/
posted by shimizu_noriko at 03:30|
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