2017年10月29日

「± 複号の彫刻家たち展 vol.1 」終わりました


「± 複号の彫刻家たち展 vol.1」佐野藍・藤本明洋・松田重仁 
  2017年10/6(金)-10/16(月) 会場: みるめgallery 企画協力:Watermark 協力:花影抄
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彫刻家 松田重仁さんの提案で始めた「± 複号の彫刻家たち展 」その第一回目が先日盛況のうちに終了しました。
この企画は2019年まで毎年1,2回開催してゆく予定です。
http://watermark-arts.com/exhibit/2986/ 
https://www.facebook.com/fukugouten/




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「± 複号の彫刻家たち展」
 アートに求められるものとその評価は時代とともに変貌し、新たな造形を生み出しています。
 近年、伝統的手わざと、創造における独自性をともにもって、若冲や琳派が人気を博しているのも、伝統的で熟練した手わざを駆使するとともに、奇想とも評価される個性が表出している魅力に、成熟した鑑賞者たちが気付いたからといえます。そのような出現は古きに求めるだけではなく現代に、そして絵画だけでなく、彫刻や工芸という領域においても期待されています。
 いま求められているのは、伝統的で熟練した手わざとともに、現代作家としての表現を併せ持った存在といえます。素材や原料を知り、技術や技法に根差した手わざを持つだけではなく、西洋ファインアートの空間演出を自らのものとし、個人として継続的に創作し変貌している「ふくごう」した存在です。
 「複号」とは、併せ持つという意味の「複合」ではなく、彫刻の行為そのものを示し、記号で表せば「±」です。「+」とは「足す、加える」 行為であり、塑像に代表される足すことで生み出され表現です。これに対し「−」とは「減らす、削る」行為であり、素材から彫り出す創作を意味します。「復号」つまり彫刻本来の原点を見据えつつ、新たな彫刻の可能性へと挑戦していきたいと思います。


「±(複号)の彫刻家たち」展によせて
彫刻家にとって、「彫刻」とはその2文字が意味するとおりの「彫り」「刻む」技術だけを指すのではない。また当然のことであるが、すべての立体物を指すものでもない。それは確かに実体としてあり、時に触れることができるものとして、私たちの前にある。しかし、彫刻の歴史を振り返れば明らかなように、それは人々の営みと深く関係づけられ、人間とともに歩んできた確固たる概念であったはずだ。つまり 人々の観念や思考が、石や木といった人間とは別の物質を媒介し、時代ごとに異なる形となって現れてきたものこそが、彫刻といえる。

   「±(複号)」とはまさに現代において、そのような歴史に連なろうとする作家たちが集う場所となるだろう。今後どのような展開をみせるのか、第一回展を迎えようとする今はまだ、私にはとうてい判断がつかないところだ。しかし本展に期待されていることとは、彫刻の見つめ直しとでもいえるだろうか。「±(複号)」はその意味で、バラバラに散らばっている個を工芸などの諸芸術も含め、広がりをもって実践される「彫刻の構築作業」といえるかもしれない。本展がこの複号的方法論によって、新たな彫刻が創出される場となることを願うばかりである。
森 啓輔(ヴァンジ彫刻庭園美術館学芸員) プレスリリースより

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また今回の展示に合わせて10/14に開催した松田さん、佐野さん、森 啓輔さん(ヴァンジ彫刻庭園美術館学芸員)によるトークイベントがArt annualに紹介されました。
http://www.art-annual.jp/news-exhibition/news/68669/


――彫刻と工芸、そのハイブリディティの真価――「± 複号の彫刻家たち展」のこれから
森 啓輔(ヴァンジ彫刻庭園美術館 学芸員)

10月14日に東京・調布市のみるめギャラリーで、「± 複号の彫刻家たち展」のアーティストトークが催された。出品作家3名のうち、松田重仁氏と佐野藍氏が出演し、本展の実現に実行委員の1人として中心的な役割を担った松田氏が、新たな彫刻の可能性を問うべく提唱した「複号」について言及する、またとない機会となった。

表現の多様化した現代において、彫刻のみならず芸術の「現在性」を問うことの困難は、多くの人々に共有されている問題に違いない。これに対し松田氏は「複号」、つまり「+(足す、加える)」と「−(減らす、削る)」という彫刻の行為を示す言葉に今一度立ち返り、彫刻と工芸、伝統と現代など、ともすれば領域の固有性ばかりが強調されがちな芸術の分野を見つめ直すことを訴えかける。本展の目的は、この「複号」を実証する過程で、そのような視座を共有する作家を広く紹介していくことにあるという。連続企画の第1回展となる今回、世代はもとよりモチーフや扱う素材、技法が大きく異なった作家が選ばれていることからも、「複号の彫刻家たち」を包括的に捉えていこうとする企画の意図が見て取れるだろう。

30名近い聴衆が集まり、会場が静かな熱気に包まれたトークでは、例えば登壇者の2名が木彫や石彫の技術を素材の表面に駆使し、その繊細な表現こそが作品の重要な要素となっていることが、共通点として浮き彫りになった。また、作品の「存在」に対する発言の場面では、松田氏はかつて日本家屋の象徴であった「床の間」の意味や機能に言及する一方、佐野氏はモチーフとなる稀少動物の生命の儚さを作品に表現することに触れ、個としての作家の独自性がはっきりと表れていた。
「± 複号の彫刻家たち展」は作家を変え、展覧会を重ねていくことを通じて、コンセプトとなる「複号」をより深めていき、2年後の2019年に現代彫刻美術館(東京・目黒区)での展覧会が予定されている。なお、昨今では日本の彫刻と工芸のハイブリディティについて、再評価の機運が「超絶技巧」のフレーズのもと、明治期の美術の激的な変動と密接に関わってみられるのは周知のとおりである。「複号」においてもまた、それぞれの表現を厳密な時代考証に基づき、伝統技術との連続性とともに、作家独自の革新性の広範な検証が、今後なされてしかるべきであろう。第2回展ではどのような作家、作品が紹介されるのか、次回の開催が待たれる。

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posted by shimizu_noriko at 17:32| Comment(0) | art | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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